2015年3月26日木曜日

「リー・クアンユー氏の遺訓~哲学なき賃上げに警鐘~」 を読んで

今朝の日経新聞に「リー・クアンユー氏の遺訓」という記事が掲載されていました。
今日はそのことについてふれてみたいと思います。

記事のテーマは、「哲学なき賃上げに警鐘」 でした。

概要は、下記になります。

50年前、リー・クアンユー氏が率いシンガポールは独立しました。
その当時は発展途上国そのもの。
小国で資源も人口も乏しい中、国の生き残りのために、産業育成に重点を置く。
独立当時は、中継貿易以外の目立った産業はなく、失業率は14%。
リー氏は、世界の製造業の誘致をすすめます。
で、当時の売りは「安い賃金」でした。
リー氏は、その売りを維持するために、賃金相場を管理する組織を創設し、
賃上げ率を経済成長率を下回る水準におさえました。
国民の不満は強かったが、世界の製造業を誘致することを優先し、結果成功。
それにより、GDP1000ドルの壁を突破します。
外資系製造業が増え、労働力不足になると、20%の賃上げを企業に求めた。
さらにその後、労働集約型企業を淘汰し、技術力の高い企業や金融が主導する
経済構造に変革させていきました。
現在、最も貧しいカンボジアのGDPは1000ドルで、44年前にシンガポールが突破した水準。
そのカンボジア政府は、主産業の労働者の最低賃金を3年前の2倍強に引き上げました。
低賃金に対する国民の不満を和らげる目的だが、コスト増を嫌う外資系企業は同国への発注を
抑え、閉鎖に追い込まれた事例もでてきているとのこと。
経済成長を狙う新興国が国民の不満に対応するために賃金を引き上げることが、
低賃金という最大の武器をすてることになってしまう可能性がある。
結果、失業率増加というしっぺ返しを食らう恐れがある。
リー氏については、賛否がある。
国の過剰な市場介入という批判もあったが、今のシンガポールの基礎を築いたことは確か。
厳しい現実を直視し、先見性をもって世界の企業を手玉にとった同氏の遺訓から学ぶことは多い。

という内容。

リー氏の現実直視力、先見性、リーダーシップ、改めて勉強になりましたが、
民主主義の難しさも感じました。
国民の不満や支持に迎合しすぎることが、将来につながらないことがある。
それであれば、独裁のほうが良いのか。
いやいや、そうではない。

民主主義は、国民がリーダーを選ぶ。
選ばれたリーダーは、国民の思いを形にするために尽力する。
でも、国民があまりにも短期的になったり、保身的になったり、部分最適なニーズに偏り
リーダーを選ぶと将来をだめにする可能性がある。
リーダーもそういった国民ニーズに対応しすぎると、舵取りを誤る可能性がある。

国民もリーダーも一歩大人にならないといけない。
全体最適、将来を優先させる必要があると思う。
リーダーは、国民に現実を直視させ、将来に向かって努力させる。
国民も一歩大人になり、短期的や局部的なニーズだけにおちいらず、将来のために努力していく。
そういう己に対する厳しさが、民主主義には必要なんだと感じる。

この記事からフェローシップの経営にも多くのヒントをいただいたと思っています。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
小山 剛生 (こやま たけお)

株式会社フェローシップは、”仲間”を語源としてます!
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


0 件のコメント:

コメントを投稿